一次醗酵、二次醗酵って何?

コンポストにおける醗酵(はっこう)とは、微生物の代謝作用を利用して、作物に悪影響を及ぼす有機物を分解することを指します。

つまり、廃棄物中に存在する有害な有機物を微生物が餌として体内にとりいれ、無害なものとして排出するわけです。こういった自然のはたらきにより図らずも作物に好影響をもたらす肥料ができあがるのです。

微生物といっても、特定の種類だけということはなく、また餌となる有機物も多種多様で、あの有機物を餌にするのはこの微生物、この有機物を餌にするのはあの微生物といった具合に、それぞれ担当があるわけです。

これらの微生物は、醗酵が終わるまで生き続けているということはありません。これも実にうまい仕組みがあり、醗酵させている廃棄物の水分や温度などの状態により、その状況下で、活動しやすい微生物が現れては消えるということを繰り返します。(微生物の遷移といいます)消えるというのは、休眠状態になるものや、死んでしまうものがあるという意味です。死んでしまった微生物は、肥料の主成分となる窒素として肥料中に残ります。

醗酵の段階は、上記のような多種多様の微生物のはたらきにより判別でき、一次、二次の2段階ではなく、3段階あるといわれています。

A.糖分分解期、B.セルロース分解期、C.リグニン分解期 の3段階がそうです。(個々の有機物に関する説明は省略します)

つまり、これらの有機物を餌とする微生物群が活動する時期と、その段階に関係があるのです。

では、なぜ、一次、二次醗酵と表現するのでしょう。

それは、まず、A.糖分分解期の期間が比較的短く、急激に温度上昇がおきる。次にB.セルロース分解期は、発熱期と呼ばれ、最もよい状態で80℃まで発熱がおきる。

この状態を考慮し、Aの時期を温度立ち上げ、Bの時期を保温の時期ととらえ、発熱を有効に利用するため、同一の箱の中に入れておくというのが目的で、AとBの途中までを一次醗酵、Bの途中からCにかけてを二次醗酵と呼ぶことにしています。

したがって、「コンポストシステム」では一次醗酵に使用する醗酵槽を一次醗酵槽と呼び、二次醗酵は堆積場にて処理することになります。

この分け方にはもう一つ理由があります。一次醗酵時には、その温度により汚泥中にある水分が蒸発し、多量のアンモニアを含んだ水蒸気が発生するのです。つまり悪臭を放つ水蒸気の出る時期は、醗酵槽に閉じ込めて、施設内の作業環境をよくするのです。

水蒸気については、接続しているブロワにより強制的に、脱臭装置等の環境設備へ送り込み、脱臭を行ってから、施設外へ、また配管中のドレン水は、仕分けして浄化槽へ送り込む等の処置を行いますので、施設周辺の環境対策の点も心配ありません。